前稿の続きです。

リワークプログラムに参加するには条件があります。
改めてお示しします。
- 主治医・産業医から通所の同意があること、
- 約1か月1日約8時間(平日のみ)、戸外で人の集まるところに通って(例えば、図書館、自習室、カフェなど)読書や勉強など何らかの作業をすること
- 生活日誌をつけること
通所開始

約1か月後、カウンセラーに生活日誌を示しどんな課題活動を実施したか説明します。
彼らはそれが事実かどうか大体わかるようです。
わたしの担当カウンセラーは精神保健福祉士・臨床心理士でした。
カウンセラーのOKが出れば、あとは空席ができるまで待機日数があります。
その間は「体験通所」として1週間ほど半日だけ通所します。
通所初日
この日のことは生涯忘れないでしょう。
予備訓練と体験通所が評価され、わたしが正式に通所開始したのは8月から約3か月でした。
夏の暑い日々でした
とても静謐で、規則性のある空間で、みんな黙々と自身のタスクに没頭しています。
所内の様々な面々

うつ病、双極性障害、発達障害、先天性疾患・・・いろいろな背景のある人たちが通所していました。
年齢も20~50代まで様々です。
後輩上司のパワハラで休職中の50代女性。
新社会人になって同僚と馴染めずこころを病み数年で休職した20代男性。
再就職したがうつ病が寛解せず会社の配慮で働きながら週に2日通所して訓練してる20代の女性。
所属会社で同期の出世頭の30代の男性、海外勤務が決まったことがきっかけでうつ病を発症してもう2年近く休職。
ある50代の男性は、役員待遇を断って家族との同居を選んだそうです。ある日、乗っていたタクシーが交通事故に遭ってしまい、それがきっかけで外傷性のうつ病を発症して2年も悩まされているとのことでした。
わたしは上司のモラハラと会社のアナジー効果でうつ病休職7か月でした。
どう見ても心身健常では?と思える人もいましたが、精神疾患は見た目では全くわからない人もいます。
通所先で何らかのトリガーで激しい気持ちの落ち込みを発現する人もいました。
わたしの通所先の特徴
2つのグループがありました。
ひとつは、わたしのような在勤中にメンタル疾患になって休職した人への「復職支援」のグループ。
もうひとつは、メンタル疾患が原因で、20代でまだ就職したことがない、あるいは就職したがすぐ退職を余儀なくされた人たちの再就職を支援する「職業準備支援」と呼ばれるグループ。
この2つのグループが同じ空間で社会復帰、社会参加を目指すという空間でした。
民間のリワークプログラムではそこは分けて対応するとおもいますが、ここでは一緒に活動していました。
様々なインストラクターたち
通常、こういう施設のインストラクターたちは、臨床心理士や精神保健福祉士、あるいは作業療法士などがメインになるのですが、ここでは他に元医療関係者以外に元教師など、医療関係以外の社会人経験者のインストラクターもいました。

訓練プログラム
どの職場でも必要な作業
営業や事務など関係なく、幅広い部署で必要とされる最低限の作業能力の回復させる訓練です。
- 書類の仕分け作業
- PCを使って短文やデータの間違いを修正する
- 様々なデータを使って解答を導く作業(「給与計算」を疑似訓練しました。大変でした)等
これらは「集中力」を回復させるための訓練です。
最初は大変でしたが、徐々に慣れていきました。
アサーショントレーニング
アサーションとは
お互いを大切にしながら、率直にコミュニケーションをする手法です。自身が望む自己表現とコミュニケーション、人間関係を構築していくことに繋がります。
うつ病になる人は自身のことよりも他者を優先し、自身のことを後回しにしてしまう傾向があります。
それに対し、自身のことをまず考え、他者にも配慮するコミュニケーションをして、双方が対等な立場で話会うことでお互いが納得のいく解決策を模索する手法です。
アサーションを身に着けることで、自身に溜め込みがちなストレスを軽減、あるいは消失させることができます。
ストレス対処法

認知行動療法
ストレスを軽減する心理療法で、物事のとらえ方「認知」や「行動」を落ち着いて振り返り、こころに働きかけることで、心のバランスを整える手法です。
薬剤に匹敵するうつ病の治療効果と再発予防効果があると言われています。
医師やカウンセラーなどの治療だけでなく、訓練すれば自分自身で取り組むことも可能です。
毎日する必要はありませんが、何らかのストレスを感じたときに、このセルフケアを実践するととても効果的です。

問題解決能力
悩みのきっかけになった問題をどうやって解決していけばよいかをチャートに沿って導く手法です。
様々な事象をまとめて考えるのではなく、ひとつひとつできることから解決策を考えていきます。
<参考↓>
疾病とのつきあいかた
主に座学の講座で学びました。
- 生活習慣の回復・改善に取り組む意義や理解
- 睡眠・食事・運動・セルフケアについての一般的な知識
- 生活を振り返り改善目標を決める 等
大切なことは大きな目標を立てるのではなく、できる目標を立てて、ひとつひとつクリアしていき、そのたび自分自身を褒めるというセルフトークを習慣化します。
自分自身で習慣化することが大切
リワークプログラムでは様々なことを学びました。
全てを実践することは不可能です。
自分に合った手法をいくつか身につけ、実践、習慣化できれば、それだけで十分です。
世界が変わります。
地獄が希望に変わります。
復職を果たした今、少しずつ仕事の量や勘を取り戻しつつあります。
うつ病を再発させない習慣、これを学べることがリワークプログラムの最大の意義だと思います。
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